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改正公益通報者保護法が成立

   

改正公益通報者保護法が成立と企業に求められる対策

6月8日に成立した改正公益通報者保護法についてです。
これによって企業は内部通報に関する体制整備が義務づけられます。この法律は2022年6月までに施行されます。
では、そもそも公益通報者保護法とは何なのか?これは2006年に施行されたのですが、組織内の犯罪などの不正
を勤務先に内部通報したり、報道機関などに内部告発したことを理由にその社員を降格や、解雇、減給などの不利
益な扱いを禁じるという法律です。

オリンパスの社員の方が、その上司が取引先企業から営業秘密を知る社員の引き抜きをはかろうとしていたことを
「取引先からの信頼を損なう」として社内のコンプライアンス窓口に通報したところ、それが上司に伝わり、
望まない部署に配置転換されるということがありました。この行為を不服とした社員が配置転換は通報への制裁的な
措置であり無効であると提訴しました。最高裁判決を経て最終的に会社と和解にいたるまでに
8年もの時間を要しました。

このような事案も背景にある中、成立した改正法のポイントですが、
・従業員300人超の企業は、内部通報に対応する体制整備(窓口の設置や、調査、是正措置)を義務付ける
義務を果たさない場合は行政は助言・指導・勧告などの措置がとれ、勧告に従わない場合は企業名が公表される
内部通報の担当者には情報の守秘義務を課し、違反した場合は刑事罰として30万以下の罰金が課せられる

他にも、これまでは保護されるのは労働者のみでしたが、改正法では役員や退職者(退職後1年以内)も追加さ
れることになりました。
このような内部通報制度の充実は何のためにするのか?ですが、不正の兆候を早くつかむことで違反行為の未然防
止や、早期是正をはかることで企業としての自浄作用を機能させることにあります。

過去には住友電工の役員が約88億円の株主代表訴訟を提起されていますが、これは不正の兆候(独占禁止法
違反)を速やかに把握し、課徴金減免制度を利用していれば、罰金額を抑えることができたにもかかわらず、申告が
遅れ結果的に他社よりも高額な罰金を払うことになりました。その損害について役員が内部通報制度の体制構築を
しっかりしていればここまでの罰金を払う必要がなかったでしょうとして株主が提起した訴訟です。
結果役員は約5億円を会社に支払うことで和解しています。この5億円も解決金は内部通報制度の外部窓口運
営などの費用にあてられることになりました。
今回の法律の成立により、企業は体制整備についてこれまで以上に意識を高く取り組んでいく必要にせまられ、
保険加入の需要も高まりそうです。

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